行政書士谷口法務経営事務所

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建設業許可申請

茨城県内における建設業の許可業者数は、平成27年3月現在で12,182となっております。全国の許可業者数が472,921ですので、その全体の2.57%を占めることになります。茨城県においては、昔から土木工事等の公共工事が多い印象がありましたが、この数字をみるとそれ程多くはないように思われます。しかし、関東の他の県の許可業者数と比較しますと少し多いようです。許可業者の規模は、個人及び資本金500万円未満の業者が約50%を占め、小規模の許可業者が多いことがわかります。なぜ、資本金500万円未満の許可業者が多いのかと言いますと、建設業許可基準の中に財産的基礎要件というものがあり、その最低金額が500万円となっているためと推測されます。

建設業許可について

・建設業とは?

建設業を営もうとする者は、建設業許可を受けなければなりません。では、建設業とはどういうものかと言いますと、建設工事を請け負うことを言います。ですから、人工出し・保守点検・維持管理・樹木の剪定・清掃などは含まれません。建設工事は28業種あり、営もうとする建設工事ごとにそれぞれの種類の許可が必要になります。尚、この建設工事については元請又は下請の如何に係わらず、かつ公共工事・民間工事の区別は問いません。

 

・許可が必要ない建設工事とは?

建築一式工事(住宅一棟のこと)については、建設工事の請負金額が1,500万円(税込)未満の場合又は木造工事で延べ床面積が150㎡未満の工事、及び建築一式工事以外のその他の請負工事で、請負金額が500万円未満の工事については建設業許可は必要とされていません(これらを合わせて軽微な建設工事と言います)。但し、建設許可業者の場合、請負金額が仮に500万円未満であっても、現場には主任技術者という者(後述の専任技術者とは違う)を設置しなければなりません。尚、新築住宅を請け負った場合、建設業許可が必要ない工事でも住宅品質確保法による10年間の保証及び住宅瑕疵担保履行法による保険等の加入は必要ですので気を付けてください。

 

・建設業許可の考え方

上記のような軽微な建設工事に関しては建設業許可は必要ありません。したがって、小さなリフォーム工事等を専門で請け負うことをお考えのなら、建設業許可は必要ないかもしれません。しかし、あまたある業者の中で、建設業許可業者であることは消費者の一つの選択肢になることは間違いありません。

 

建設業許可基準

・経営業務の管理責任者(常勤)がいること

・専任技術者を営業所に置いていること

・請負契約に関して誠実性を有していること

・請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること

・欠格要件等に該当しないこと

 

建設業許可を申請した場合には、上記5つの基準に従って審査されることになります。これらの中で最も苦慮する点が、果たして経営業務の管理責任者及び専任技術者の要件を満たしているのだろうかという点です。この要件を満たさないために、建設業許可取得を泣く泣く諦めた方も少なくありません。建設業は一般に工期が長期にわたり、しかも請負金額が高額になることが予想されます。しかも、小売業や卸売業とは異なる契約形態(前払い)をとる場合が多いため、トラブルになった場合には消費者が大きな損害を被る恐れがあります。従って、契約金額が大きい建設工事を行おうとする業者については、それなりの厳格な要件が課されます。その最たるものが上記の2つの基準になります。裏を返せば、この要件をクリアーすることができれば、建設業許可のひとつの山場を越えたと言えるでしょう。尚、同一営業所内では、両者を1人の人が兼ねることが出来ます。

 

経営業務の管理責任者がいること

経営業務の管理責任者とは、建設工事に関する何らかの経営経験5年以上持った人をいいます。この経営という部分がみそで、単なる技術者ではなく所謂マネジメント経験がなければなりません。具体的には、法人の場合には役員(常勤・非常勤問わず、取得しようとする業種と同じ業種を行っている会社の役員)としての経験、個人の場合には個人事業主としての経験が該当します。個人事業者や中小法人の場合には、この経営業務の管理責任者を外部から招へいすることは経営上難しいと思いますので、代表者がこの要件に該当するかがポイントとなります(常勤の役員の1人が該当していればよい)。

 

・他社(建設業を営む)の役員の経験が5年ある場合

⇒ 取得しようとする業種と同じ建設業を行っていたのかを確認しなければなりません。そこで、同じ業種なら5年間の経験で足りますが、違う業種なら6年間の経験が必要になってきます。この場合の業種の経験は他社において証明して貰わなければなりませんので、これから退職して独立しようと考えている方は、このような点も頭に入れて置いた方がよいかもしれません。

 

個人事業主としての経験が5年ある場合

⇒ 取得しようとする業種と同じ建設業を行っていたなら5年間の経験で足りますが、違う業種なら6年間の経験が必要となってきます。また、個人事業主の親の下で一緒に働いていたような場合(単なるアルバイトではなく事業専従者として)にも、経営業務を補佐した経験として、通算6年間で経営業務の管理責任者になることができます。尚、個人事業主の経験はあくまでも建設業を専任で行っている場合を想定しています。よって、例えば、どこかの会社から給料の支給を受けながら副業(A様式による確定申告)として建設業を行っている場合には、事業主としての経験として認められない恐れがありますので注意が必要です。

 

・その他

⇒ 上記に該当しなくても、以下のような場合にも該当します。

 1.会社を設立してから5年以上たっている(許可業種と同じ業種の建設業を行っている)

 2.建設会社での役員の経験及び会社設立してからの年数の合計が5年以上である

 3.建設業を個人で営業及び会社設立してからの年数の合計が5年以上である

 

専任技術者を営業所に置いていること

専任とは、営業所ごとに専任(つまり常勤)という意味になります。したがって、営業所が複数ある場合には、それぞれの営業所に専任の技術者が必要となってきます。建設工事は、人命に関わることがある(マンションの耐震等)など、その性質上高度な専門知識が要求されます。当然の如く、それに携わる技術者にも高度な専門知識実務経験が求められます。したがって、技術者と認められるには厳密な要件をクリアーしなければなりません。一般的には、一定の国家資格等(1・2級建築士、土木・建築施工管理技士)取得者については実務経験が免除されます。一方、資格等はないが、その業務に一定の期間従事してきた者についても、その実務経験をもって技術者と認められます。自分が取得している資格や実務経験が、これから取得しようとする業種(28業種)の技術者の要件に該当するかをよく確認しなければなりません。

 

・高等学校卒業(指定学科)+実務経験(5年)

・高専又は大学卒業(指定学科)+実務経験(3年)

・1級・2級建築士(実務経験免除)

・1級・2級土木施工管理技士(実務経験免除)

・1級・2級建築施工管理技士(実務経験免除)

・10年以上の実務経験(学歴・資格を問わず)

 

指定学科とは、大学又は高校における土木工学・都市工学・建築学・電気工学等の学科を言い、専修学校などで学んだ場合には該当しません。したがって、規定の指定学科を卒業していない場合や資格等がない場合、専任技術者となるには10年間(携わった工期の合計期間)の実務経験が必要となります。尚、この実務経験は、その取得しようとする1業種についての実務経験であることは言うまでもありません。ですから、2業種の専任技術者となるためには、原則として、それぞれの業種の10年間の経験で合計20年の実務経験が必要となります(複数業種に係る実務要件の緩和措置あり)。また、この実務経験についても、経営業務の管理責任者と同様に、その経験を積んだ会社において証明してもらうことになります。

 

請負契約に関して誠実性を有していること

法人の役員等(非常勤役員を含む)や個人事業主が過去において、建設工事の請負契約に関して不正な行為(詐欺・脅迫・横領・文書偽造)や不誠実な行為(請負契約の違反行為)を行っていて、今後も繰り返すような恐れがあるある場合には、この基準を満たしません。

 

財産的基礎又は金銭的信用を有していること

以下の金額が500万円以上であること。

法人場合(株式会社・合同会社)

既存の企業   ⇒  直前決算期の貸借対照表(B/S)の純資産の部の純資産合計

新規設立企業  ⇒  創業時における開始貸借対照表(開始B/S)の資本金額

個人の場合(青色申告・白色申告)

建設業用の貸借対照表を利用(第18号様式) ⇒ 直前の貸借対照表の純資産の部の純資産合計

青色申告の貸借対照表を利用 ⇒ 元入金+事業主借+特別控除前の所得金額-事業主貸の金額

※上記の金額が仮に500万円未満の場合であっても、別の方法がありますのでご相談ください。

 

尚、個人事業主の確定申告のおいては、白色申告(ほとんどの方がB/Sを作成していません)に限らず、青色申告においても借対照表を作成している人はあまり多くはないように思われます。しかし、建設業許可申請においては、財務諸表(損益計算書・貸借対照表)は必ず必要となるものですので、今後建設業許可の取得をお考えなら、白色申告の方は青色申告へ変更(届出期限に注意して下さい)し、既に青色申告の方はきちんと帳簿付けをして貸借対照表65万円の青色申告特別控除あり)を作成することをお勧めします。また、確定申告書の控え(後述)は、白色・青色問わず最低5年分又は7年分は保管しておいてください。

・確定申告書(提出の場合は受領印、e-TAXの場合は受付番号

・決算書

 

欠格要件等に該当しないこと

役員等(取締役・顧問・相談役・一定の株主)が以下の要件等に該当しないこと(一部抜粋)

成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者

・不正の手段により許可を受けた場合、又は営業停止処分に違反した場合等によりその許可を取り消されて5年を経過しない者

暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(暴力団員等)

暴力団員等がその事業活動を支配する者

 上記のように、欠格要件に暴力団排除条項が新たに追加(改正)されました。赤字の要件につきましては、仮に許可を受けた後に該当したときは、許可が取り消されますので注意が必要です。

 

 

当事務所へ依頼される方へ

上記の内容が全てではありませんが、建設業許可申請の場合における気を付けるべき点を列挙してみました。これによって、建設業許可のことが大体イメージできたのではないでしょうか?

検討した結果、どうやら要件を満たしているようだと思われる方、若しくは何かわからない事がある方は、どうぞご遠慮なく当事務所までご連絡ください。

尚、建設業法によれば、請負契約については建設業法第19条で書面で締結することが義務付けられているにも関わらず、小規模の建設業者様においては工事毎にきちんと契約書を締結している方は少ないのが実情です。しかし、この請負契約書等がありませんと、業務の実績を証明するのに非常に煩雑な手続き(発注証明書等)が必要となってしまいますのでご注意下さい。